デザインを軸に、さまざまな繋がりが集うショップ「WELD DESIGN STORE」
デザインで地域の中小企業と繋がり、商品販路&デザインコミュニティが産まれるショップ「WELD DESIGN STORE」を運営する株式会社江口海里スタジオの江口海里さん(以下、敬称略)に、そのネーミングに込められた想いを聞いてきました!
デザイン事務所と並行して、「もの」と「人」が集まるショップを新設
特許庁:本日はよろしくお願いいたします!江口さんが、いま行っている事業について、教えていただけますか?
江口:メインはデザイン業になります。様々なプロダクトのデザインやブランディング支援を行っています。今年創業15周年になるのですが、何か記念碑的な形で新しい事業に取り組もうと考え、自分たちが携わった商品などを扱うセレクトショップを立ち上げたのが、「WELD DESIGN STORE」になります。
特許庁:セレクトショップを始めたきっかけをもう少し伺ってもよいでしょうか?
江口:経産省と特許庁が「デザイン経営宣言」を出して、中小企業もデザイナーの考え方を取り入れてイノベーションを起こそうとする流れが起こり、私達の会社にもそのような依頼が多くなってきました。そうすると、販路を探していくことが1つの課題になるのですが、解決策として、自分で持ってしまおう、と始めたものです。また、大阪でのデザインコミュニティを作りたいという想いもあり、デザイナー同士で集まったり、何かを企てて発表したりする場を作りたいな、と考え、人が集まれるイベントスペースも設けています。
地域の特性を見極め、地域の中小企業に響く言葉「溶接」をネーミングの中心に。
特許庁:「WELD DESIGN STORE」の名前はどのように産まれたのでしょうか?
江口:「Weld」は「溶接」という意味なのですが、大阪のクリエティブな匂いやカルチャーを表す、大阪らしい名前をつくりたくて、「大阪らしいことって何だろう?」ってところからスタートしました。その中で、大阪は金属加工業が小さい会社から大きい会社まで数多くあって、「溶接」っていう単語に強さみたいなものを感じて。大阪の製造業に携わる人からすると、「溶接」って、あーなるほどねって伝わるような要素があるなと思い、その言葉を使おうと決めました。
頭文字の「W」は、異なる「Value=価値」を繋げていくという想いを込めて、フォントが異なる2つの「V(Value)」を重ねた「W」にしています。町工場さんが持っている技術と家具を繋げたい、伝統工芸とモダンデザインを繋げたい、町工場の社長とデザイナーを繋げたい、そんな、何かと何かが繋がっていくようなお店にしたいなっていう想いがあって、この名前にしました。
特許庁:「DESIGN STORE」の言葉を選んだのには、なにか理由がありますか?
江口:「デザイン」とつけるかは少し悩んだのですが、「プロダクトデザイン」って一般の人への浸透が弱いので、その部分を啓発するためにも、ここはデザインに関するものを扱う店だということがわかるようにしたいと思い、「DESIGN」という名前を付けました。デザインにフォーカスを絞りたかった、という想いがあります。
商標登録は、アイデアを保護するために、そして、自分たちへのプレッシャーや覚悟に繋げるために。
特許庁:商標登録をすることになったきっかけはありますか?
江口:弁理士の方と知り合ってから申請をするようにしています。自分たちが考えたアイデアを保護する意味もありますが、それに加えて、自分たちへのプレッシャーや覚悟という意味もあります。権利を取得して自分たちが知的財産権を持つということに対して、これを使って事業をしないといけない、という良い意味でのプレッシャーを感じられることが個人的には大きいです。審査の途中段階でも、インターネット上で、どの企業がどのような商標出願をしたという情報が出回り、自社の情報が出ることで良いプレッシャーを感じられます。
特許庁:「○○会社がこんな権利を取ったので、こういう商品がでてくるのでは?」とSNSがざわめくようなことでしょうか?
江口:そうですね。「江口海里スタジオで、こういう権利をとりました」ということが、他社へのけん制になるだけでなく、自分たちを世の中に知ってもらうことになると思います。そして、徐々にそれに対して意識が向いてくる。そんな、気持ちになれます。
特許庁:商標登録して感じたことは、なにかありますか?
江口:抽象的ですが、玄関や門ができたような感覚になります。気持ちとしての変化はありますね。商標権を取って事業をやっていることの自分たちの本気度合いを知って欲しいし、気持ちを引き締めるという感覚の効果がありますね。自分たちの中で愛せる名前になっているように思いますし、いろんな方からもいい名前だと言ってもらえるのが嬉しいです。また、自分たちに名前がついたような気持ちになります。
製造業の方と一緒に、いい製品を、もっと広く。そして世界へ!
特許庁:最後に、今後やりたいと思っていることや目指していることがあれば、聞かせてください。
江口:中小企業と一緒につくった商品が一般の方に流れていく道筋をつくっていきたいというのが、一番大きいです。将来は、大阪だけでなく東京にも店舗をつくっていきたいですし、海外にも「WELD DESIGN STORE」で打って出ていきたいと考えています。デザイナーが、自分たちが携わった商品を売っていくこの流れにのって、日本の製造業の方と一緒に、いい製品を日本や海外に届けて、経済的にもハッピーになりたいですね
株式会社江口海里スタジオ
〈主な登録商標〉
第6741070号