創業117年目の老舗鍛冶屋が提供する、ポップなネーミングの包丁研ぎサービス「ポチスパ」。
(2024年9月21日に石川県能登半島を中心に発生した豪雨により被災された方々に対し、心よりお見舞い申し上げます。皆様の安全と被災地の1日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。)
石川県能登町の老舗鍛冶店「ふくべ鍛冶」が展開する新たなサービス「ポチスパ」について、代表取締役である干場健太朗さん(以下、敬称略)に、そのネーミングに込められた想いを聞いてきました!
受け継がれてきた確かな技術をもとに、「包丁研ぎの宅配サービス」を展開!
特許庁: (今回は、INPIT石川県知財総合窓口からご紹介いただきました!)よろしくお願いします!早速ですが、どのような事業をやっていらっしゃるか教えていただけますか?
干場:代々鍛冶屋として、包丁を中心とした刃物の製造・修理・販売を行ってきましたが、4代目として自分が継いだ頃は慢性的な赤字経営でした。その解消のためにいろいろな新商品の開発等を行ってきた中でたどりついたのが、「包丁研ぎの宅配サービス」です。具体的には、ネットで包丁研ぎを注文すると、専用の箱が自宅に届き、研ぎたい包丁を箱に入れて最寄りのポストにストンと入れておけば1週間ほどで研ぎ直しされたものが届くというサービスです。
特許庁:どのような経緯でこのサービスを思いついたのですか?
干場:一人前の鍛冶になるため、従業員が束になって、父から鍛造や溶接の技術を習得したのですが、その中で1番の基本と言われたのが「包丁研ぎ」で、修行を通じて何百社とある各メーカーの包丁の特徴を知ることができました。そして、その技術・知識を基に、世の中にある包丁研ぎサービスを見ると、お客さんにとって不満を感じそうな点や不便な点が見えてきて、それを全て解消できるように考えたのが、今回のサービスモデルです。
「いつでもどこでも簡単に頼みやすい」を目指し、ポップさ重視のネーミング!音感の良さが鍵!
特許庁:ネーミングでこだわったポイントはありますか?
干場:本格的な職人による包丁研ぎだからと言って「職人技」とか書くと、「頼りになると思いつつ緊張する」などのネガティブな反応が多く、いつでもどこでも簡単に頼みやすいというサービスにしたかったので、名前をポップにした方がいいのかなとは思ってました。20~30代の客層を増やしたいということもあったので。妻と一緒にいろいろ考えた結果、「ポチッと注文したらスパッとした包丁が返ってくる」サービスということで「ポチスパ」と名付けました。
特許庁:狙いどおりのポップな名前ですね!
干場:そうですね、2~3か月悩んだ結果でてきたもので、音感的に良いのが決め手でした。「包丁研ぎ」と言えば「ポチスパ」となるように、音感でお客様の記憶に残るのがいいなと思いました。最終的には海外展開も夢なので、海外でも通じる名前にしたくて、「侍」や「忍者」のような言葉をいれたアイデアもあったのですが、しっくりくるものはなかったので、とにかく受け入れられやすいものと考えて、世に出しました。
ドメイン名を押さえつつ、他社の使用をきっかけに商標登録!自信をもって名前を前面にだせるように!
特許庁:商標登録しようと思ったきっかけはなにかあったのでしょうか?
干場:包丁研ぎはネットで商売になることがわかり、自然勃発的に、似たサービスが出始めてきた時期だったので、先にドメイン名を押さえました。その後、同業他社が似た名前をつけていたり、SEO対策で名前を使用したりしたことから、早く商標登録した方がいいと知財総合支援窓口にアドバイスされ、商標登録することにしました。他の商品名等は、商標登録に必要なコストと登録しない場合の損失リスクを考えて、必要なものについて登録しています。商標登録は、専門家に相談しなくても自分でも出願できるので、費用がそんなにかからないのがいいですね。
※参考:INPIT石川県知財総合支援窓口での支援事例はこちら
特許庁:商標登録したことで役に立ったと感じることはありますか?
干場:商標登録していると、広告やメディアで自信をもって名前を前面に出せるところがいいですね。取材されたときも、この「ポチスパ」というワードがいい意味で独り歩きしてくれます。社員の中でも一体感が生まれたのを感じます。
村の鍛冶屋から舞台は世界に!いろんな企業と連携して前進する!
特許庁:最後に、今目指している将来の話があれば、聞かせてください。
干場:村の鍛冶屋として小さく事業を始めて、いろんなサービスを展開してきました。上手くいっているもの・上手くいっていないものの両方がありますが、整理しながら良いところをどんどん伸ばしていきたいと考えています。また、他の企業と組んでいろいろなことに挑戦をしていきたいと考えており、例えば、地域の伝統工芸品同士で協力したプロジェクトを立ち上げたり、「ポチスパ」と同じような仕組みをアメリカで事業展開しようと進めています。ヨーロッパも含めて海外市場は非常に大きいので、いろんな企業と連携しながら進めていきたいと考えています。
株式会社ふくべ鍛冶