“和の美しさを留める”。想いをもって帯締めの留め具を世に送り出す「WATOME」
やさしいぬくもりや穏やかな時間、そんな暮らしのなかのふとしたうつくしい瞬間を留める、そんなものづくりへの想いをもって事業を展開する鳥居美千代さん(以下、敬称略)に、そのネーミングに込められた想いを聞いてきました!
方法が決まっていなかった帯締めの収納環境を整えるアイデアを製品化
特許庁:今日はよろしくお願いします。鳥居さんが行っている事業について、教えていただけますか?
鳥居:2023年3月から、着物の帯締めの収納具を販売しています。亡くなった母のタンスを整理していた時に帯締めが乱雑に入っているのに気がつき、なぜ帯締めは仕舞い方が決まっていないのだろう?整理の仕方が決まっていれば、どの帯締めも使う機会が増えて捨てることの無い循環される収納環境が出来るのでは?と思ったのがきっかけで考えた製品です。
特許庁:なるほど。ご自身で考えられ制作されたんですね?
鳥居:自分で考えて、製品化の際には、デザイナーの方に協力してもらいました。普通の主婦が事業化し進めていくには、なにか強みが必要と思って、特許も取っています。
商品のイメージ段階で思いついた名前。想いにぴったり合っているのを確信して前へ。
特許庁:「WATOME」という名前はどのように産まれたのでしょうか?
鳥居:製品は2本のリング状の紐を帯締めの左右から合わせることで帯締めを止める構造なのですが、そのイメージがまだ漠然としていた頃に、朝起きた瞬間に「WATOME」という名前をふと思いつきました。「輪」、「和」、「留め具」という言葉に関連しますし、日本の伝統を綺麗に留めたいという想いや「和」というより「和モダン」な商品にしたいという想いはあったので、そういう想いから派生して名前が出てきたのかもしれません。産まれたときからアルファベット表記でした。
特許庁:想いにぴったりはまったわけですね!
鳥居:そうですね。思いついたときに息子に電話したら、「『和の美しさを留める』ものだから、いいんじゃない?」と言ってくれ、すごいはまってる名前なのを確信して、決めました。「和」は、日本文化であり、やわらいだ穏やかな気持ち。互いがうまくつり合い調和がとれること等とも読み取れる美しい言葉。日本の伝統工芸品である帯締めを「WATOME」で収納をしている時に、心がやわらぎ気持ちが和む。収納が終わった時に、心も整う。使われる方の心にすっと入ってくるような、やわらかな印象を持って頂けたら嬉しいと思っています。
特許について調べていたのをきっかけに商標を知り、「自分の物にしたい」と思って登録
特許庁:商標登録をすることにしたきっかけはどのようなものだったのでしょうか?
鳥居:漠然と特許についてJ-platpatで調べていたときに商標についても知りました。その時、WATOMEを自分の物として登録しておきたいとという気持ちもあったので登録することにしました。
特許庁:手続も自分でされたんですか?
鳥居:登録しようと決めたときに無料の相談センターに行って、指定商品の書き方についてアドバイスをもらって、後は、娘に託しました!娘も商標出願について全く知らなくて結構大変みたいだったようで、製品化を諦めようとしたとき怒られて。せっかく名前が権利化できたので、ちゃんと製品化を実現しなくてはという気持ちになりました。
日本の伝統文化を、職人さんの想いを、未来へ繋ぎたい。
特許庁:最後に、今後やりたいと思っていることや目指していることがあれば、聞かせてください。
鳥居:最近は若い方も着物を着てくださっていて、日本の伝統の美しい着物文化を、これからも楽しみながら守っていただけたらなぁと思っています。「WATOME」は、とても簡単な構造ですが、簡単な物で有るからこそ誰もが抵抗なく受け入れ易く、社会的イノベーションを起こせるものと思っています。収納方法さえ確立していなかった帯締めですが、WATOMEで収納環境を改善する事で、その存在価値が高められ、廃棄される事なく循環されるようになればいいなぁと思っています。帯締めも伝統工芸品、職人さんが手をかけて一生懸命作っているものですので、やっぱりきちんと最後まで使い続けるっていうことが大事なんじゃないかなと思って、そのお手伝いができればいいかなと思っています。
WATOME
<主な登録商標>
登録第6369628号