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番外編!事業としてネーミングに向き合う専門家の声を直撃!

今回は番外編!福島県郡山市を拠点に、「私たちはお客様の未来の青写真を描き、その未来を可視化する会社」と掲げ、ブランディング、グラフィックデザイン、webサイトデザイン制作等を手がける「株式会社concept-village(コンセプトヴィレッジ)」代表取締役の馬場大治さん、クリエイティブディレクターの服部奈々さん、デザイナーの寺山美奈さん(以下、敬称略)に、ネーミングで大切にしていること等について聞いてきました!

特許庁: 特許庁主催イベント(「つながる特許庁in郡山」)で行ったワークショップでは、サポートいただきありがとうございました!ワークショップ、いかがだったでしょうか?
 
馬場:名前を産み出すプロセスを自分事化できたり、自分たちが考え出したアイデアが他人に商標登録されてなかった時の喜びを短い時間で体験できたり、素敵な時間だと思いました!
 
服部:ネーミングを考える際に言葉を展開・連想したりするのは、普段からの慣れの部分もあるんだなぁと改めて感じましたし、そういう意味でワークショップでの体験が今後きっと役立つのではないかと思いました。
 
寺山:あとは、参加者の方々が、みんな楽しそうに悩んでいたのが印象的でしたね!

ネーミングで一番大切なのは、背景にあるストーリー。 消費者目線での言葉選びも重要。

特許庁:ありがとうございます!ネーミングに関する依頼を受けた際に大事にしていることはどのようなものでしょうか?
 
馬場:実際には「0からネーミングして欲しい」という依頼は少なく、「名前を考えてみたんだけど、どうでしょう?どうデザインに落とし込んでいけばいいでしょう?」という依頼があって、クライアント様と一緒に考えていくということが多いかなと思います。
 
特許庁:具体的にはどういうプロセスで行っていくのでしょう?
 
服部:水産事業者さんからのロゴ作成の依頼あったものを例にすると、依頼時には名前は一応決まっていたので、他の事業者さんが使ったり商標登録したりしていないかをチェックしました。その上で、全体の文字のまとまり感はどうか、見たときにそれがなんなのか伝わりやすいか、受けるイメージがコンセプトと合っているかといった点も考慮しながら、候補をいくつか提示させていただき、最終的に決めていただく、という流れで行っていきました。
 
馬場:自分たちの役割は、そのブランドの「性格を創っていく」ものと考えてます。親しみやすいのがいいのか、おしゃれがいいのか等、その性格に応じて、英語表記がいいのか平仮名表記がいいのか、色やフォントはどのようなものがいいのか等をしっかり選んでいくということも意識している一つですね。
 
特許庁:なるほど。ネーミングの際に大切にしているものってどのようなものですか?
 
馬場:一番大切なのは、やっぱり、背景にある物語。最近手がけた事例では、名前の候補は決まっている中で、そこにストーリーをつけ、デザイン展開に落とし込んで欲しいという依頼でした。馴染みのない商品・名前であっても、そこに文脈をもたせ、消費者の方が自分事化できるように、ぐっと寄せていった事例になります。自分よがりではなく、やはり買ってくれる人にとって「意味がある言葉」である必要があると思います。
 
服部:消費者の方に親近感を感じてもらうというか、自分事化してもらえるような名前であることも意識しています。どんな人に使ってもらいたいのか、どんな風に感じて欲しいのか、といったサービスの立ち位置を整理した上で、その人達が馴染みのある言葉はどういう言葉か、ということも意識した言葉を選ぶようにしていますし、コンセプトをより伝えるために、タグラインも一緒に考えて表示するようにしています。

「名前」は商品やサービスの内容を伝え、差別化できる最も重要な基点となるもの。 「目標」のような効果もあり。

特許庁:名前の重要性、ブランディングを考える上での立ち位置について、どのようにお考えでしょうか?
 
馬場:「名前」は言葉なので、世の中で最も伝達速度が速い表現方法だと思っています。一瞬で認識できるものになるので、「名は体を表す」ではないですが、内容をしっかり表せていることが最も大事であり、かつ、世の中にあるさまざまな商品・サービスがある中で差別化ができる最も重要な基点となるものだと思っています。
 
寺山:「名前」は目標のような感じもあります。会社の名前があることで、それを掲げてみんなで同じ方向を向いて頑張っていくんだみたいな気持ちになりますし、商品の名前があることによって、その商品のストーリーを関連づけられる、そういう効果がある気がしています。自分たちもコンセプトヴィレッジという名前をユニフォームにつけることで、仕事を誇らしく感じられますし、どんどん展開していこうという気持ちにさせてもらっています。
 
服部:名前一つで商品の見え方が変わってくることもある。名前が商品の対象を決めてしまうこともあるので、幅を広げられるようなネーミングを意識して名前を変えた事例もあります。例えば、高タンパク質が特徴の商品を、最初アスリートをターゲットにして「リカバリー○○」という名前をつけていたが、最終的に「ご褒美○○」という名前に。アスリートに対しても、その他のターゲットに対しても響く言葉にできた事例でしたね。ただ、対象を広げる言葉にすると、どんな商品なのかが曖昧になるという面もあるので、そこはタグラインで補うことで解消しました。

唯一自分たちの名前を守れる制度が商標制度。しっかり活用していく必要があると再認識。

特許庁:商標登録についてはどのようにお考えでしょうか?
 
馬場:商標登録は唯一自分たちの名前を守れる制度なので、しっかり活用していくべきものというのは再認識したところであり、大切なものと考えていて、クライアント様には商標登録を働きかけていかなくてはいけないと考えています。
 
服部:苦い思い出もあります。パッケージデザインを担当してすごく良い仕上がりだったのですが、実は商品名について他の方が登録されていて、「使わないでください」という申し出があり使えなくなってしまったという悲しいことがあったので、それ以来、最低限、商標として既に登録されていないかについては調査するようにしています。
 
特許庁:商標登録に関しての意識というのはどのようなものでしょうか?
 
馬場:他人が使ってるかどうか気になる方はいても、商標登録まで意識されている方は少ないですよね。他人に商標登録されていないことを確認しても、その後、自分で商標登録するというのはハードルが高いと感じている人が多いのではないかと感じます。売れてきて初めて意識する人は多い。自分でもできる選択肢ということがわかれば、少しハードルが下がるのではないかとは思います。
 
特許庁:特許庁の課題として改めて認識しました。本日は、ネーミングの現場の貴重なお話、ありがとうございました!


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